まとめ・課題
以上、6校のモデル授業の報告をみると、社会で働くプロとの出合いによって児童・生徒たちに大きな感動を与えることができたと同時に、職業に対する視野の広がりや新たな発見を感じることができる。
日頃あまり接することのない社会人講師から直接話を聞き、実際に作業を体験するなど新しい世界を知ったことは、短期的な目に見える効果ではなく、子供たちがこれから大人に成長していく過程で、生き方や職業に対する選択肢を増やすことにつながることが期待できる。今回の大商モデル授業が、子供たちが「社会に目を向ける」一助となれば幸いである。
また、モノづくり授業(泥の家、大工の技と心)や成果発表の機会がある授業では、グループで力を合わせて取り組む場面が多くあり、お互いの存在を認めてコミュニケーションを図りながらひとつの作業を完成していく協調性の必要性を実感し、達成感を得ることができたのではないか。
ただ、今回の試みが最初であっただけに、いくつかの課題が残された。とくに本授業を一過性のイベントに終わらせることなく、真に子供たちの職業観養成に役立つように、事前事後の学習を充実させる仕組みづくりが必要である。たとえば、社会人講師が何気なく使う専門用語(業界用語)や児童・生徒たちの理解が難しい事柄については、授業実施後などに教師による補足授業が必要であろう。また、教科学習との連携も重要なポイントであろう。
さらに、本授業の効果をより高めるためにも、社会人講師と教師との間で、授業の目的や得られる効果のイメージを共有化し、一緒に授業をつくりあげていく体制が望まれる。今回は、社会人講師による一方的な授業が多かったが、今後は社会人講師と教師が連携し、相互に補いながら授業を進めていく仕組みづくりが必要と思われる。
最後に、今回授業を提供いただいた、大阪ガス(株)、(株)竹中工務店、NPO法人大阪活性化推進総研に改めて感謝申し上げる。
平成17年2月
大阪商工会議所